學のほそ道 ~慶應逍遙録

めし、フロ、慶應通信、占いも勉強してる。

西洋史概説Ⅰレポ完成、官能の煮凝り

この土日は暑かった。春爛漫をすっ飛ばして、初夏だ。
来週からEスクがはじまるので、それまでにはせめて一本くらい新規レポを提出しようと思っていたところ、ずいぶんと手間取ってしまい、それでも[西洋史概説Ⅰ]のレポを提出できる寸前まで完成させた。
しかし、どうも納得がいかない出来具合ではあるのだが。
まあ、ひとまず提出してみましょう。

昨日の読書会の補遺。
三島由紀夫の描写力にはいつも圧倒されるのだけど、この『春の雪』の前半でとりわけ印象的だった下りがある。老女・蓼科(たでしな、と濁る)の描写である。
彼女は、主人公・松枝清顕(まつがえ・きよあき)の恋人である綾倉聡子の世話をする女性である。清顕は聡子と会いたいのだが、彼の側には彼女との間を取り持つ適当な人間がいなかった。そこでその役目を、無骨で古武士然とした書生・飯沼に任せようと画策する。
わたしが驚いたのは、主人公が蓼科と飯沼とを合わせるシーン。
その直前で清顕と会話する老女の姿をこう描写する。

その上、蓼科という老女の、ひどく丁重で、礼儀と恭しさの固まりのように見えながら、あたかも何千年もつづいた古い娼家の主のような、官能の煮凝りをその皺の一つ一つに象嵌した風情が、かたわらにあって彼の放埒をゆるしていた。

官能の煮凝り!
官能の煮凝り、って、なんだ。
一瞬、そこで目が止まるのを自覚する。自覚して、また読み直す。そして解らない。解らないけど受け入れてしまう。